これだけは書いておかないといけないこと

2021年の京都サンガF.C.は、様々な理由で注目されるだろうし、様々な目で見られる。単純に見繕ってサッカーファンの半分は応援し、残りの半分は嫌悪するかもしれない。もしかするとサンガのファンやサポーターも半々に分かれるかもしれない。その一番の理由はチョウキジェ監督の就任にあります。多くの方が知っている、湘南ベルマーレでのパワハラ問題です。

 

それでも、自分はポジティブに考えてるし、応援したいと思っているので、理解している範囲で、なぜそう思うのかを書き記しておきたいと思った次第です。

 

1.調査報告書について

調査報告書は、ネットで調べるとすぐに読むことができます。その内容が以下のリンク。

https://www.jleague.jp/release/wp-content/uploads/2019/10/925ec93f2e7757434f6bc923dd9beb70.pdf

主に、スタッフに対する言動と選手に対する言動があります。

読むとわかりますが、昔は許されていたというか、問題視されていなかっただけで、問題ありだと思います。特に、スタッフに対する言動については、直接的に管理・指導する立場にないにも関わらず、監督という権力を持って脅しと捉えてもいいような叱責をされています。選手に対しても同様で、選手からすると選手起用に影響すると考えても仕方ない状況もあったと思います。

例えは悪いですが、野球の監督が試合中にベンチを蹴ったりしているシーン、ああいうものが公でない場で行われたり、場合によっては見せしめのように行われていたという感想です。

ですので、自分自身もこの報告書の内容とその処分は妥当だと思いました。(1年という期間が長いか短いかということではなく、一定期間のライセンス停止という意味で。)

 

2. 湘南ベルマーレでの主な成績

この後書く内容のために、チョウ監督時代の湘南ベルマーレの成績を見ておきます。

2012年;J2;2位;昇格
2013年;J1;16位;降格
2014年;J2;1位;昇格
2015年;J1;8位;残留
2016年;J1;17位;降格
2017年;J2;1位;昇格
2018年;J1;13位;残留;ルヴァンカップ優勝

J2では優勝2回、2位1回とすべて昇格しています。J1ではなかなか結果が出ていませんが、2018年にはルヴァンカップ優勝とタイトルもとっています。チームの予算規模、毎年のように主力を抜かれる状況から考えてもすごい成績です。事件がなければ今も名将と言われていたと思います。

 

3.成績とパワハラの関係性

ネットでよく見る意見として、ネガティブなものは「復帰は早すぎる」、「被害者の気持ちを考えたらない」、「あの成績がパワハラによってもたらされたものだったのか」というようなニュアンスのものが多いです。ポジティブなものは「公的な協会が決めた期間を経過しているので問題ない」、「事件を機に変わるのではないか」といったものがあります。

この中で一番気になっているのが「あの成績がパワハラによって〜」というニュアンスの意見に対してです。これは、この意見の前後関係から見ても、「ちょっとパワハラ的な部分があって、選手やチームを鼓舞した事によってもたらされた好成績であり、パワハラをしなければあの成績はなかった」という意見だと感じています。

ニュースを見たとき(調査報告書を読む前)には、自分もあまりパワハラの事は気にしたことがなかったし、身近に迫っている危機でもなかったので、「そうだよなー」程度にしか思っていませんでした。野球の監督の例を上で上げましたけど、「ちょっと場がピリッとして緊張感高まるんじゃないの?」程度の認識でした。

でも、会社のハラスメント対策教育などを受け、表面的に勉強しただけでも、会社(この場合はチーム)に及ぼす影響は計り知れません。主に以下のようなものがあります。

  • 会社のコンプライアンス問題
  • 選手・スタッフなどの人的な損失(移籍や退職)
  • 被害者への損害賠償、会社のイメージダウン(スポンサーへの影響)
  • 職場環境の悪化
  • モチベーションの低下(被害者だけではなく、その周りも含めて)
  • 生産性の低下(選手だとパフォーマンスの低下)

などなど、悪影響を及ぼすものがたくさんあります。そして、実際には、良い影響を及ぼす効果は1つもありません。そう、いいことが全くないんです。

このことにようやく気づいて思ったのは、湘南の成績は、本当はもっと良くなった可能性があったのではないか?ということです。もちろん、厳しい指導に耐えうる技術やメンタルを持ち合わせた選手が集まり、強度の強い練習の結果残した好成績ではあります。ただ、練習の強度が強かったことがパワハラではないということです。

その練習についていけなかった選手、あるいは思い描くスタッフワークに応えられなかったスタッフに対するその後の言動が問題であり、そこにパワハラがあったんです。

なので、パワハラでない部分はそのままに、ついてこれなかった人を一人でもすくい上げるフォローが会社としてできていれば、もっと良くなった可能性があるのではないかと考えるということです。

自分は、この考えがありネガティブな事は考えず、応援しようと思ったということです。

 

4.京都サンガに求められる今後の対応

最後に、じゃぁ手放しにすべて問題なしと考えていいかというとそんなことはなく、むしろ、これまで以上に選手や監督以外の事に多くのコストを掛ける必要があります。

1つは世間の反応に対して、よりリスクがある方に考えて対策をする必要があります。ポジティブなものははっきりって無視できますが、ネガティブな意見は無視できません。むしろ、そういう目で見られていることを認識して、監督、コーチングスタッフ、選手、だけではなく、社員全員を守っていく必要があります。なので、社員全員が、今年だけではなく、この先何年か(少なくともチョウ監督の間)はそういう意見もあるんだという認識をして、大げさに反応しないようにする必要があります。

次に、ハラスメント教育を全員に定期的にする必要があると思っています。会社でやっているからそう思うのではなくて、こういう問題は、ずっと意識する必要があるからです。特に、慣れは怖くて、そのうちこれは大丈夫とか思ってしまうのが人間なので、教育を受け続ける必要があると思います。そして、一定の知識を得ることによって、被害者側は誰かに言ってもいいんだと思えるし、会社はそういうポストを構築するからです。親会社の力を借りてでもやるべきだと思います。

 

なんだかよくわからない文章になってしまいましたけど、以上が自分の思っていたことです。

 

自分としては、パワハラ問題を自分なりに理解した上で、それでも定められた研修を受け、一定の処分を受け、復帰が認められたと把握しています。ハラスメント行為は、内容の程度と加害者側の問題認識の差があって判断が難しいですが、今回のケースは、教育を受けることにより本人が反省し、対策をとり、再発防止ができるものであったと感じています。ですから、日本サッカー協会に復帰が認められたと思っています。そして、自身の問題を認識して克服したからこそ復帰を認められた監督を応援でき、期待できると思っています。

再発してしまえば、それ見たことかということになってしまいますし、その被害は計り知れません。

それでも再発しないと信じています。これは、リスクを甘く見ているのではなく、自分が出した結論であり、決断した結果です。

 

チョウ監督が京都サンガの監督として指揮をとってくださる期間は、今回書いたことを忘れずに応援しようと思います。